ジャーナリスト矢追純一氏かく語りき ~TV報道について~

UFOがありえるかどうかはアンタが決めなよ」

〜矢追純一氏が伝えたいこと~

·         BLOGOS編集部20160508 07:58http://blogos.com/article/174599/

■矢追純一プロフィール


(やおい じゅんいち)717日[ノアの箱舟がトルコのアララト山に漂着した日、つまり人類の始まりの日]生まれ。かに座。
中央大学法学部法律学科卒業。同年4月日本テレビ放送網()入社。日本テレビ時代は「11PM」「木曜スペシャル」などを担当し、UFO及び超能力番組のディレクターとして活躍する。日本テレビ退職。「宇宙塾」主宰、宇宙科学博物館コスモアイル、名誉館長、()スペース・ラブ取締役。 
 現在、「{宇宙塾}を中心に、地球環境問題、UFO問題等、フリーのディレクター、 プロデューサーとして、テレビ、ビデオやラジオの番組制作、 及び出演で活躍中。さらに、著述、講演、レクチャー、そして取材などで世界中を奔走。 

※結構楽しいサイトですので日常から離れて刺激がほしい、ありきたりなニュース報道にうんざりした方には訪れてみる価値はあるかと思います。
矢追純一のUFOXファイル
※古いサイトです。

前回、UFO特集を始めた経緯を我々に語ってくれた矢追純一氏。後半は、今のテレビをめぐる状況に、どのような思いを抱いているのか、聞いてみた。(前編はこちらから)【大谷広太/永田正行、撮影:野原誠治】 

■視聴率というのは「ある特殊な分野を見たい」人たちを捕まえること

ー私も「矢追純一スペシャル」を見て育った世代ですが、90年代半ばごろを境に、やはり不確かなものや科学的な説明が難しいものを扱う機会が減っていったような気がしています。
 
 難しい質問ですね。難しい質問というのは、いい質問という意味です。これには、ものすごく色々なことが絡んでいると思うんですが、人々に精神的な余裕が無くなっているということは間違いないと思います。その要因としては、大災害の発生や、経済の逼迫があるし、テロの流行もあるでしょう。 
 仕組み上、テレビという産業にはあまり先がないんですよ。売っているものが時間だから、言ってみれば1日24時間しか売るものがない、他の産業はどんどん拡大再生産することができるけど、テレビにはそれができない。 
 そういう中でマスコミが果たす役割の中には、"人々を元気づけ、明日に希望を持たせる"ということも含まれているんだと思うんです。「社会の木鐸」であるということには、そういう使命もあると思っているんですが、そこが抜けていますね。 
 一般大衆は、どうしてもマスコミに左右されてしまう部分があるんですから、マスコミは世の中を引っ張って行かねばならない。それがどっちかというと迎合して、視聴率を稼げばいいや、というところに行っている気がしますね。問題は何が面白いか。そこが迎合的になってしまうと、お互いレベルが下がって行っちゃうんですよ。 

「いい番組を作りたい」とみんな言うけれど、何がいい番組なのかがわかっていない。みんなの「つまらねえからテレビ見ねえ」、という声を、作り手の側が汲んでいるかというとそうでもない。今はそういう状況ですね。 
 テレビ業界は、まだオールラウンドなものを好みますが、今や個人の趣味に合わせていく、というものが社会の風潮でしょう。みなオートクチュールで同じ格好をするというのではなく、個性的で、高くても好きなものを買う、「みんなと同じものじゃ嫌」という時代。そこにマスコミは追いついていないと思う。だから依然として、オールラウンドに受けるものを作ろうとしているんだろうね。 
 そんな中で、視聴率は稼がないといけないし、2〜3歳から100歳まで、みんなに見てもらわないといけないと思うと、常識的な、当たり障りのないものが出来るんですよ。でもそれは逆で、視聴率というのは、ある特殊な分野を見たい、と思う人たちを捕まえることだと思うんです。 


■いざ目の前に宇宙人がきたら、気絶しますって
—そう考えると、矢追さんの番組は、ニッチといえばニッチだったかもしれません。 
矢追純一のUFO特番って、エキセントリックなんだよ。常識的でない、みんなに受けようとも思っていない。好きな人だけが見た。でも、好きな人がめちゃくちゃ多かったんだね。 
 ああいうことをなぜやっていたかというと、世の中には非常識なことの方が常識的なことよりも多いし、まだ科学で解明出来ていないことのほうが多いわけでしょう。でも、マスコミというのは、そういうものは存在しないと最初から決めつけているから、もっと常識的でない分野をお届けするのも、マスメディアの使命じゃないかなと思ったんだよ。だから、オカルトチックなことばかりやってきた。 
 オカルト的ということは、"反常識"ではなく、"非常識"だということ。ユリ・ゲラーやネッシーも含めて、こういう世界もあるんだよと知ってもらいたいと。 
 確かに、みんなが同じ方向に行くってのも、社会的には悪くない。でも、個性がなくなったらまずいでしょう。 
 空を見ると、いままでの自分の閉じ籠っている狭い世界がちょっと開けるんじゃないかと。空は広いでしょう。星を見上げると、すごい世界があるんだな、自分はくだらないことに悩んでいるな、と気がついてほしいなと。そういうコンセプトは今も変わっていない。 
 色んな人に、自分が思っているのとは違う世界があるんだと。言い換えれば、自分の選択肢は無限にあるということを忘れて、視野狭窄になりやすいから。恋愛なんてその最たるものでしょう。思いつめると集中しちゃって、「他に女は居ない」と思っちゃうんだよ。端から見れば「そんなことありえないでしょ」って(笑)。 
 僕だって、UFOで生きてるわけではない。生きていく上でのちょっとした些細な出来事なんですよ。"矢追=UFO"って思われてるけど、俺は人間なんだよって(笑)。 
 だから実はUFOにも、そんなに重きを置いていないんです。「あっても無くてもいいじゃん、そんなものは」と。それに囚われることが、まさに狭い世界に閉じこもることになるんだから。「世の中、いろんなことがあるんだよね」、それを伝えるというのが、僕のコンセプトですよね。 

実際問題、宇宙人を見たいとかみんな言うけれど、見たら嬉しいかもしれないけれど、他にもいくらでも面白いことはあるでしょうと。いざ目の前に宇宙人がきたら、気絶しますって。本当に来たら嫌なんだよ。遠くからチラチラしててほしい。「あれは飛行機かな?UFOかな?」って言ってるときが一番楽しい。第一、UFOが生活に影響があるかもしれない、と考えている奴はいないんだよね(笑)


■「UFOがありえるかどうかはアンタが決めなよ」


ーテレビ局へのクレーム多いと聞きますし、ネットではしばしば"炎上"も起こります。 

僕の頃もあったね。そういう意味では、今は"ひ弱"だね。作り手たちに芯が通っていない。番組が終わったら電話かかってきて、間違って取ると、「あんな、根も葉もない事を公共の電波で流しやがって」と言ってくる。 

 「ありえるかどうかはアンタが決めなよ、俺のところに怒鳴ってきてもしょうがないでしょ」
 「てめえこの野郎、社長出せ!」
 「お前が社長に直接電話すればいいじゃねえか、おれはお前の小間使いじゃねえよ!」
 「今から行くからな、たたじゃおかねえからな!」
 「早く来いよ!待っててやるから!」
なんて会話がよくあったね。
あとは、「子どもが怖がって、トイレに行けなくなった」とかね。「お前、親だろ。親なんだったちゃんと自分でやれ、こっちに持ってくるな」と言い返したこともありますよ。 


■見てるからこそ「あんな番組くだらねえ」と言える

ー正しい答えを用意しないといけないというか、判断を視聴者に委ねることをしない番組作りが増えた、ともいえますか。 

受け手というのは、テレビであれ、そのほかのメディアであれ、基本的に"参加"したいんだよ。学校がつまんないのは、先生が一方的に情報よこして暗記しろという世界だから。 
 番組でも本でも、全部提示してしまうと、送り側の一方的な考え方になっちゃうわけだよ。そこにお笑いを入れてごまかしてもだめ。だから、見てる方は、一応笑ったりするけど面白くはない。参加する要素が必要だと思う。 
 だから、矢追純一スペシャルなんて、毎回、決着ついてないでしょう? 

ー確かに、最初から最後まで予告編みたいな…(笑) 

気づいたら終わってた、でしょ?あれは、"自分が参加してたから"なんですよ。 
 アメリカに取材に行くときも、スタッフは自分入れて5人いないくらいだった。それ以上になると車が2台になって、必ず迷子になる。通訳もタレントも一切連れて行かない。間に入れると面白くなくなるからね。いきなり行って、ホテル探して、レンタカー借りて俺が運転していく。取材先の場所もよくわからないから、探しながら行く。その過程も全部カメラを回す。ドアをノックして、家に入っていくところも撮っている。座って話し始めて初めてから照明が当たる。 
 あれは、全部カメラ1台で撮っていたんですよ。つまり、僕の視点。見てる方もカメラに同調して、一緒に取材に行っている気になるんだね。カメラを2台も3台も使うと客観描写になるからダメ。 
 そういう風に作っていくと、俺のワクワク感、新鮮さが伝わるんだよね。だからみんなが面白かったんだと思う。 

ー視聴者も取材する側になっているわけですね。 

 取材した結果をみせてもらってるのではなくて、自分が取材者になっている。他にも番組はいくらでもあるのに、あれから何年経っても「あれ面白かった」と言ってくれる。最後まで次どうなるんだろうって。翌日みんなで「あれはどうだった」「なんだ、見てないの?」と議論する。そういう番組を、一番目標としなければならない。 
 見ている側が参加している気持ちになって、さらに他の人と意見戦わせるくらいじゃないと面白くない。「あれはおかしい」とか「あんな番組くだらねえ」でも良い。そんなことは、見てないと言えないんだから。「こんなくだらない番組」ってクレーム言って来た奴にも、「お前最後まで観ただろ。観るなよ」って言い返してた。 

ーあえて「作りこまない」という方法を取っていたというのが意外でした。 

僕自身は、前もって番組の構成を立てたり、予測を立てたりことが苦手だし、予定調和を嫌っていたから、何にも考えていない。事前の研究も調査もしなかった。それをやっちゃうと、固定観念でものをみてしまうようになるし、新鮮さが無くなっちゃうんです。10年も付き合った女と会うようなもんだよね。だから番組構成なんてない。最初に行く一箇所だけ決めていく。ひらめきでね。そこから、色んなことが起きてくる。 
 インタビューもそうなんだけど、いろいろ調べて行っちゃダメ。相手が総理であれ、何も知らないでい行った方が、「こういうおじさん・おばさんだったんだ」という驚きがある。質問も、前もって決めた質問ではなく、その場で思いついた質問をぶつけて行ったほうが、答える方も意外なことを言ってくれちゃう。もう一つは、聞く側が喋っちゃダメ。 

ー…はい。今日は事前に質問を用意してしまいました。 

予め調べちゃうと、質問が限定されちゃう。それ、ネットで引けば出てくる、ということになってしまう。黙って聞いていればいい。そうすれば思いがけないことがいろいろ出てくるわけね。 

ー他にも、メディア人たちに物申したい!ということはありますか? 

全然。みんな、勝手に生きていきゃいいと思ってるから。「正しい」と思うことは、ひとりひとり違うからね。 
 多くの人が陥りやすい錯覚は、自分が正義だと思うこと。だから喧嘩になる。自分の考えなんて、所詮は自分の中だけのことなんだから。他の人の考える正義はそうじゃない可能性の方が高い。それで批判するのは間違い。それぞれの人が思う正義だったり、行くべき道だったりするわけで、こうしたほうがいいってことを提示するってことは無理。 

ー今、テレビ局はみな苦戦していると言います。 

みんな問題点を分析するでしょう。組織の問題、予算の問題…全部言い訳なんだよね。男は言い訳するなと。 
 「なんでそうなった?」と聞かれたときに、「実はこうで…」と言うけれど、じゃあマスコミとして、視聴者ひとりひとりにそれが説明できるかと。そんなこと無理なんだから、それぞれが自分のベストを尽くすしか無いんだよね。でも、すぐ人のせいにしたがる。 

結局、「今どうしてテレビがつまんないんですか」っていうと、「いや~組織的に」とか「カネがないと上司が言うから」とか、そういう言い訳じゃなくて、その制約の中で自分なりにジャーナリストとしてベストを尽くすだけなのであって。 
 僕も、ただのジャーナリストでしかないんですよ。ジャーナリストとして伝えるべきことを伝える。けれど、それは常識に囚われるのではなく、その間口を広げるっていうことなんです。 
 だから、こういう風にすると面白いとか、こういう風にしたらいいんじゃないか、なんてことも言えない。そこに携わっている人それぞれが決めること。 

「私はこういう風にやりたい」というものがあればそれでいい。「ウケよう」とか、「視聴率取れそう」とか考えるからおかしくなる。そうではなく、自分は何をしたいのか考える。それが無いから人のせいにする。みんな、生きることすら責任を負いたがらないからね。 
 それで、参考にしないくせに人に教えてくださいとか、そういうこと言うんだよな。本当に参考にするくらい信用しているのか?と。信用してないんですよ、どいつもこいつも。そのくせ知りたがる。自分に思いが無いなら、聞いたって意味が無いんだよ。 
 自分の人生は自分が決めるものなのに、決められないんでしょ。日本という、環境がいい国に生まれてしまったものだから、ついなんとなく来ちゃった。自分の生き方はどうあるべきか、自分で築いていくんだということすらも考えたことがないんだよね。 

ーありがとうございます。とても刺さりました。 


《矢追純一関連リンク》
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矢追純一監修「Encounter」
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矢追純一さんに「UFOや宇宙人の真実」を聞いてみました!

2014/12/06 に公開
矢追純一さんに、みなさんがよく話題にする「UFOや宇宙人」の疑問を直接聞いてみました。
矢追純一さんは、世間で、「UFO研究家」とか「UFO好きな人」と思われがちですが、生粋のTV番組プロデューサーでジャーナリストです。ただし、番組を制作する上で調べた資料は膨大な量で、それらの資料は石川県羽咋市(はくいし)にある、宇宙科学博物館コスモアイルの名誉館長室に寄贈し展示されています。日本で最初にUFOや宇宙人を扱った番組を制作したのが矢追純一さんですが、「世の中には知らされない事実」をコンセプトに番組制作をしてきました。超能力やUMAなど、いわゆる「オカルト」というジャンルを作った方です。矢追さんの生き方は、実にしなやかでシャープです。また、今でも世界中から情報が入ってくるネットワークがあります。お話はいつも楽しく、驚愕の事実が連続で飽きることが全くありません。素敵な人です!






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2016/05/14 に公開



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