フェルミのパラドックス

 (フェルミのパラドックス)「我々は地球外生命体に監視され、研究されている」MIT天文学者が結論!宇宙人にとって人類は珍獣レベル、「動物園仮説」を徹底解説。

2018.01.07  http://tocana.jp/2018/01/post_15596_entry.html

1950年、物理学者のエンリコ・フェルミは極めて素朴な問いを発した――「彼らはどこにいるのだろうか?」。“彼ら”とはもちろん地球外知的生命体のことである。130億年以上ある宇宙年齢と宇宙空間に無数に存在する恒星の数を考えてみれば、地球のような惑星に人類のような知的生命体が発生していてもおかしくはない、いやむしろ、いない方がおかしい。それなのに、なぜ我々は彼らを観測することができないのか? これを「フェルミのパラドックス」という。

 MIT天文学者が考える宇宙人が見つからない本当の理由

  1980年代、MIT(マサチューセッツ工科大学)の天文学者ジョン・A・ボールは、フェルミの問いにはより適切な形があると考えた。宇宙人がいるはずなのに、彼らを観測することはできないならば、「なぜ我々は彼らの存在に気付くことができないのか?」と問うべきだと言うのである。ボール氏によれば、“地球外知的生命体が人類とコンタクトを取ろうとしている”という前提が多くの研究者の間で共有されているが、これが間違っている可能性があるという。彼らは我々にコンタクトしようと思えばできるはずだ。では、なぜしないのか? 結論は一つしかない。彼らには我々にコンタクトする意志がないからだ。

ボール氏は、1985年の論文「Extraterrestrial Intelligence: Where is Everybody?」(地球外知的生命体:皆どこにいるのか?)で3つの想定を導いている。

想定1、 人類は唯一の生命体ではない。地球外にも進んだ文明は存在し、ある程度において銀河系を支配している。
想定2、 多かれ少なかれ、彼らは人類の存在に気付いている。だが、彼らは我々の存在を気にかけるだろうか? おそらく人類は銀河の中の曖昧な存在(obscure entity)に過ぎない。
想定3、 我々が彼らの存在に気付くことができないのは、次の2つの可能性のどちらかである。1、宇宙人は人類に存在を知られたくない(隠れている)。しかし、もし彼らが隠れているとしたら、それは彼らが人類のことを気にかけていることを意味する。銀河の曖昧な存在である人類からどうして隠れる必要があるのだろうか? 2、人類は(まだ)宇宙人の存在を知ることができるほど賢くない。そして、宇宙人らにとっては、人類に存在を知られても知られなくてもどちらでもいい(気にしていない)。

ボール氏は想定32つの選択肢は、地球が宇宙人にとってどれほど価値があるかに掛かっていると考える。つまり、地球に価値があれば、彼らは隠れているのだろうし、価値がなければ、我々のことはどうでもいいと考えているというわけだ。だが、ボール氏が最も魅力を感じるのはその中間、「地球は宇宙人にとって多少の価値はある」だという。

 ■人類の価値はちょっと珍しいアリぐらい

  ここで登場するのが有名な「動物園仮説」である。動物園仮説は「地球外知的生命体は慎重に、あるいは目に見えない状態で人類を監視し、ちょっかいを出さない」というものだ。またボール氏は次のようにも説明している。

「“善良な”というのは適切な言葉ではないかもしれないが、人類を虫けらのように叩き潰すことができる地球外知的生命体が存在するとしても、我々はまだ生きていて動いているのだから、彼らはそう決断していないことになる。これは、彼らにとって、我々が生きている方が価値があることを意味しているか、少なくとも我々は彼らの邪魔をしていないということを意味するだろう。それにしても、一体どうして我々が彼らの邪魔をすることができるのだろうか? まだ太陽系からさえ出ることができていないのに」

 ボール氏によると、動物園仮説には2つのバージョンが存在する。

バージョン1、「地球外文明は存在する:宇宙人は人類に対していくらかの関心を抱いている。彼らの中の少数の科学者は、気付かれないように我々を研究している」
バージョン2、「地球外文明は存在する:宇宙人は人類に興味を持っている。彼らは我々を詳しく調査しているが、目立たないように行っている」

 ボール氏が最有力視しているのは、1のバージョンである。少数の宇宙人科学者は研究対象として人類に関心を抱いているが、大多数の一般的な宇宙人は我々の存在を知らない。人類の宇宙人に対する関係は、ちょうどバーチェルグンタイアリ(こんなアリの名を聞いたことがあるだろうか?)の人類に対する関係と同じだというわけだ。

ボール氏が最初に動物園仮説のアイデアを提唱したのは1973年のことだが、2016年には米宇宙物理学者ダンカン・フォーガン博士が、動物園仮説の発展系として「銀河クラブ仮説」を提唱している。地球は「原始的文明(地球文明)との接触禁止を徹底する保守的な同盟の支配地域にある」というのだ。この仮説は、地球や人類が宇宙人にとってかなりの価値を持つと見積もった上で、それに関心を持つ複数の地球外文明に接触を禁じるものであり、ボール氏が考慮しなかった可能性を突き詰めた研究として重要だろう。

 いずれにしろ、動物園仮説が正しいとすれば、我々が地球外知的生命体と対等な立場で出会うことは不可能だろう。民間人がUFOに連れ去られるアブダクションも、彼らにとっては生物学者が珍しいアリを捕獲するのと変わらないのかもしれない。人類が彼らのレベルに達するまで、いったい何千年、何万年かかるというのだろうか……?
(編集部)参考:「Big Think」、「MIT」、ほか


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