宇宙開拓時代の新たな技術開発 最高レベルの新型加速器「スーパーKEKB」が試運転

宇宙の謎に迫る・新たな物理法則発見に熱い期待が・・・
2016.5.9 12:30更新 http://www.sankei.com/life/news/160509/lif1605090019-n1.html


 宇宙の謎に迫る最新型の加速器「スーパーKEKB(ケックビー)」が、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)で試験運転を開始した。素粒子同士を衝突させる性能で世界最高水準を誇り、再来年にも新たな物理法則の発見を目指して実験を始める。(黒田悠希)

標準理論を超える

 現在の宇宙にある物質は素粒子という小さな粒子が集まってできている。だが約138億年前の宇宙誕生時には、質量などは粒子と同じだが、電気的な性質が反対の「反粒子」も同じ数だけ生まれたと考えられている。例えばマイナスの電気を帯びている電子に対し、プラスの電気を帯びている陽電子が反粒子だ。
 反粒子でできた天体や銀河は、現在の宇宙では見つかっていない。なぜ反粒子は消滅し、粒子だけが生き残ったのか。その理由を説明する理論でノーベル賞を受賞したのが小林誠、益川敏英両氏だ。


 高エネ研は1990年代に加速器「KEKB」を建設。小林・益川理論の正しさを実験で証明し、2008年の受賞につなげた。
 だが、まだ謎は残っている。小林・益川理論は原子核をつくる素粒子クォークについて説明したもので、反粒子が消えた理由の全てを説明できないからだ。
 これまでの実験結果は、素粒子物理学の土台となっている「標準理論」という基本法則に多くの点で一致しているが、一部で合わないデータも出ている。その理由を探る実験は、標準理論を超える新たな物理法則を見つけるチャンスであり、素粒子研究の最大の焦点になっているのだ。
 残された謎を解明するため高エネ研が約300億円を投じて改造し、グレードアップした新型加速器がスーパーKEKBだ。


40倍の衝突性能

 1周3キロに及ぶトンネル内で電子と陽電子のビームを光速近くまで加速して衝突させ、宇宙誕生時に迫る高いエネルギー状態を再現。これによってB中間子などの粒子を生成し、その崩壊によって出てくる粒子を詳しく調べる「ベル2実験」を行う。
 新型加速器の売り物は、電子と陽電子を衝突させる頻度が従来の40倍で、世界最高水準に向上した点だ。衝突が頻繁なほど目的の崩壊現象をたくさん観測でき、まれにしか起きない新たな物理現象を検出しやすい。
 世界の加速器は、欧州合同原子核研究所(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)が衝突エネルギーで最高とされる。ノーベル賞に輝いた「ヒッグス粒子」を発見したことで有名だ。これに対しスーパーKEKBは衝突頻度の高さが武器で、LHCの強力なライバルになる。


 日本は衝突性能の分野に強く、KEKBも当時の世界最高を誇った。今回はビームのサイズを絞り込み、電流を増やすことでさらに高性能化した。DNAが新たな世代に引き継がれたといえる。
 「世界一になるために、LHCのような高エネルギーではなく、衝突性能でフロンティアをとる」と高エネ研の大西幸喜(ゆきよし)准教授は意気込む。
再びノーベル賞も
 崩壊をつぶさに観測するのは直径7メートルに及ぶ検出器だ。衝突頻度の向上に伴い測定精度や識別能力を大幅にアップさせた。「KEKBでは見えなかった全く新しい世界が見えてくるかもしれない」と実験チームの中山浩幸助教は目を輝かせる。計画には国内の研究機関や大学だけでなく、海外からも多くの研究者が参加している。


 日本の加速器科学がここまで進展したのは驚異的ともいえる。理化学研究所などが建設した加速器は戦後、占領軍によって破壊され、研究活動の「空白期」を強いられたつらい過去があるからだ。
 その後、再起した研究者や技術者の多大な努力を礎に、KEKBの先代「トリスタン」など多様な加速器が建設され、ノウハウが受け継がれた。加速器は現在、基礎物理学にとどまらず医療や生命科学研究など多くの分野で活用されている。
 スーパーKEKBはアジアにおける素粒子物理学の最高レベルの研究拠点ともなる。標準理論を超える物理法則で存在が予測されている新粒子を発見すれば、再びノーベル賞も夢ではない。
 トリスタン計画に携わった高エネ研の山内正則機構長は「探索の範囲を一挙に広げ、これまで知られていない現象が明らかになることを期待する」と話している。


■2018年に火星に無人宇宙船

 米宇宙開発企業のスペースXは、火星に向け無人宇宙船「レッドドラゴン」を2018年にも打ち上げることを明らかにした。実現すれば企業としては初。同社が開発中の大型ロケット「ファルコンヘビー」に搭載するとみられる。
 国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給機として運用中の「ドラゴン」を改良する。同社はネット投稿でこの計画を「火星への物資大量輸送に必要な技術を実証するもの」と説明した。
 イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はツイッターに「ドラゴンは太陽系のどこにでも着陸できるよう設計されている。これはその手始めの試験飛行だ」と投稿した。
 18年は火星が地球に大接近するため、飛行距離が短くなるよう時期を合わせたとみられる。

みよ!これが日本の宇宙開発の実力だ!

《維新嵐》 宇宙開発の面でも日米共同事業という性質ですね。わが日本はここのところがなければ、事業ができないといわしめるくらいシェアを確保し、開発の主導権をとられすぎないようにしてほしいものですな。


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