キャトルミューティレーションとは、主に1970年代に全米各地で発生している牛などの家畜が虐殺される事件として広く知られている。これらの一連の事件では約20000頭の家畜が殺されたといわれている。
被害にあった家畜は主に雌牛であり、死因としては下腹部を円形に切り取られていることによる失血死であるが、出血の痕跡が全くなく、すべての体内の血液が抜かれているのか消えているという不可思議な事件である。
このようなことから目撃証言などもふまえて異星人による生体実験であるとする説やアメリカ軍による実験説などがいわれているが、これに類した事件が実は我が国でも発生しているのである。
発端は1989年(平成元年)11月9日の読売新聞青森版で報道された記事である。事件自体は2ケ月前の8月31日に青森県三戸郡田子町で発生、ここは西は秋田県、南は岩手県の県境に位置する青森県最南の場所であり、ニンニクや牛の生産地として知られている。
田子町遠瀬で農業を営むK氏(当時64歳)は、朝に自らの放牧場である和平放牧場で変わり果てた牛と対面する。和平放牧場では120頭の牛を放牧していたが、K氏所有の牛だけが死んでいるのが確認された。黒毛和種の4歳雌、体長2.5m、体重400㎏。昨日まで元気であった牛は、乳房付近を丸く鋭利に切り取られ、左耳、舌の半分が切り取られていた。切り取られた乳房、左耳、舌半分は発見されることはなく、血痕も確認されなかった。
すぐに現場に畜産協同組合の職員と獣医が駆けつけて診断がなされたが、獣医の診断によると「急性乳房炎」とされた。牛の死体は解剖もされずにすぐに埋められてしまった。
また和平放牧場での事件から約1ケ月後の1989年(平成元年)10月初旬にも田子町の小国牧場でも牛が変死する事件が発生していた。やはり和平放牧場と同様に雌牛が1頭、乳房と両方の耳を切り取られていたのである。
関連性は不明であるが、和平放牧場と小国牧場の2ケ所の事件で共通していることは、2つの事件の前後に青森県でUFO(UAP)の目撃事案が多発していたことである。事件当夜には、和平牧場方向に飛び去る「不思議な飛行物体」を目撃した方も存在した。
UFO(UAP)とミューティレーションとの関連性を示す根拠はない様子である。ただ田子町は牛とニンニクで成り立つ町であるため、この二つの事件については内密にしたいようである。
個人的には、事件を隠蔽するより、キャトルミューティレーションとUFO目撃事案をうまく絡めて、UFOの町として町おこしの起爆剤にも使えそうな気もするのですが、どうもそういう発想は当時なかったらしい。「杉沢村」のようにホラーで町おこしするよりは、よほどロマンを感じられる話だと思うのですが。
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